報道によると、ソニー・グループと米投資会社アポロ・グローバル・マネジメントが、米映画・テレビ大手パラマウント・グローバルに買収案を提案したようです。
パラマウント・グローバルがどんな会社で、買収の提案によって株価がどう変化したかを調べてみました。
ソニーは1989年にコロンビアを買収しています。今では、映画が主力事業の一つになっています。
パラマウント・グローバルの概要
パラマウント・グローバルは、米国の大手メディア企業です。
もともとCBSとViacomという二つの大きなメディア会社の合併によって生まれました。両社はもともと合併していたものの、2006年に分割されていました。
テレビ、映画、ストリーミング、出版、デジタルメディア、スポーツ、ニュースなど、多岐にわたるビジネスを展開しています。
パラマウント・グローバルの主な事業
- CBS TVネットワークを運営
- 多様なケーブルTVネットワーク(MTV、SHOWTIME、BET、CBSスポーツなど)を運営
- 映画製作・配給会社のパラマウント・ピクチャーズを運営
- 動画配信サービス「Paramount+」を運営
- 無料の動画配信「Pluto TV」を運営
部門別売上構成は、TVメディアが68%、消費者直販(D2C)が22%、映画・エンターテインメントが10%(2023年)となっています。
パラマウント・ピクチャーズは、映画配給会社を牽引する「ビッグ5」の一角です。世界で5番目に古い映画スタジオで、アメリカの中では2番めに古くから存在します。非常に歴史のある映画配給会社といえます。
Paramount+は、2021年に米国で開始した定額制ビデオ・オン・デマンドサービスです。2023年末時点で世界45か国で6100万人超の加入者数を誇ります。
日本でも2023年12月から配信を開始しています。パラマウント・ピクチャーズやCBSなどの映画やドラマを視聴できます。
人気作品は?
パラマウント・ピクチャーズが製作・配給する映画や、Paramount+で配信されるオリジナルコンテンツがパラマウントの主力製品となっています。人気作品としては、以下の作品が挙げられます。下に挙げたもの以外でも、代表作品は、数えきれないほどあります。
- 「インディ・ジョーンズ」シリーズ
- 「ターミネーター」シリーズ
- 「スタートレック」シリーズ
- ローマの休日
- ティファニーで朝食を
ソニーによる買収の報道で株価はどう変化した?
ソニーがパラマウントを買収することが最初に報道されたのは、おそらく、2024年の4月18日です。
パラマウント・グローバルの株価を確認すると、2024年4月18日(木)の終値は、10.81ドルでした。これに対し、2024年4月19日(金)の終値は、12.44ドルでした。
報道が、市場が開いている間に出たかはわかりませんが、株価が1割以上上昇しています。しかし、株価は色々な要因で変化するため、報道の影響かはわかりません。
なお、2024年5月2日(木)の終値は、13.86ドルでした。少なくとも、ソニーに買収されるといった報道で、株価が低下していることはないようです。
買収を行う場合、市場での価格よりも上乗せした価格で株を購入することが多いです。このため、買収の具体的な内容がわかれば、株価は更に上昇するかもしれませんね。逆に、下がることもあるかもしれませんが…
買収はうまくいく?
買収が成功した場合、ソニーが大株主、アポロが少数株主になるようです。外国企業が所有者となるほか、ハリウッドの2大スタジオによる大型合併となるため、規制当局の調査対象となる可能性が高そうです。
日鉄とUSスチールの件もあり、買収がうまくいくかどうかを不安視する声も多くみられます。この点に関して、日鉄とUSスチールのようにはならないと推測します。
ソニーはすでにコロンビアを傘下に収めています。このため、コロンビアを買収したときのノウハウがあるはずです。コロンビアがよくて、パラマウントがNGということはないと思います。
また、製鉄に関しては、「国防に関わる」との理由から、政府が介入する大義名分があったと思いますが、パラマウントは、事業的にいえば、エンタメになると思います。映画は、アメリカの歴史に欠かせないコンテンツではありますが、大義名分がなければ政府は介入しにくいと思います。このため、日鉄とUSスチールのように、政府が介入してこじれるということはないと思います。
まだ、買収することを正式に決定しているわけではないようですが、買収するとなれば、うまくいくのではないでしょうか。
まとめ
映画の配給会社をあまり意識して見ていなかったため、パラマウントを知らなかったのですが、代表作品を多く抱えるかなり著名な企業でした。買収がうまくいくといいですね!