2019年1月、中国が打ち上げた「嫦娥(じょうが)4号」が、月の裏側への着陸に成功しました。
月面探査機は様々な国が送り込みましたが、着陸したのは月の表側。
月の裏側へ着陸した探査機は現在も、「嫦娥(じょうが)4号」のみとなっています。
では「嫦娥(じょうが)4号」は何を目的として送り込まれたのでしょうか。
まとめてみましたのでご覧ください。
月の裏側に着陸する目的は何?
月の裏側に着陸する目的は何なのでしょうか。
月の裏側に着陸することには、いくつかの重要な意義があります。
科学的探査
月の裏側は地球から見ることができません。
月の自転周期は月が地球を回る公転周期と同じだから、地球から月を見上げた時はいつも月が同じ面を向いているように見えるんだよね。
月の裏側の地形や構造は表側と大きく異なっていることがわかっています。
月の裏側に着陸したのは2019年ですが、1959年にソビエト連邦(ソ連)の「ルナ3号」が初めて月の裏側の撮影に成功しています。
その後もアメリカ、再びソビエト連邦、また日本と高解像度の月の裏側の撮影に成功し、地形についてみることができるようになったためです。
月の裏側に着陸し詳細な探査を行うことで、月と地球の歴史や、月の内部構造について新たな知見が得られる可能性があります。
地中の成分はもちろん地球外生物の可能性にも関心が高まりますね
電波観測
月の裏側は地球から見えないため、地球からの電波干渉から守られています。
具体的に言えば、地球からの人工的な電波や自然な電波が月の裏側には届かないということを意味します。
地球上では、人間による電波干渉や自然要因により、特定の周波数帯(特に低周波帯)での電波観測が困難ですが、月の裏ならば低周波帯の電波観測に理想的な環境だとされているんですね。
これにより、地球では行えない方法で宇宙現象の研究が可能になります。
例えば、宇宙の「暗黒時代」の研究。
宇宙が誕生してから最初の1~3億年は星が1つも存在しない真っ暗闇の状態で、「暗黒時代」と呼ばれています。
この時期の宇宙の状態を理解するためには、地球上では観測困難な特定の電波を捉える必要があります。
月の裏側であれば、宇宙の「暗黒時代」の研究が進むというわけですね。
原始の宇宙はどうだったんだろうね。
氷の探索
月の裏側に氷が堆積している場所を探します。
人は水がなければ生きられないので、これは将来の月面基地の設立に向けてのとても重要な調査ですね。
生物の生育実験
月の重力下で植物が生育できるかどうかを検証します。
嫦娥4号がこの実験を行いましたね。
これまで地球の生態系が他の天体に運び込まれたのは例がありませんでした。
少なくとも月の裏側で植物の栽培(発芽まで)が成功したのは嫦娥4号が史上初です。
すごいことですね!嫦娥4号の実験結果の詳細が気になりますね!
有人探査の準備
将来的な有人探査に向けて、月面の放射線環境を理解することはとても重要です。
月に滞在する宇宙飛行士は、光速に近い速さで宇宙を飛んでくる粒子にさらされる可能性がありますのでなおさらです。
今、再び月に人を送り込む有人月面ミッションが計画されています。
月面のみならず、有人火星探査も視野に入っています。
人類がこれらのミッションをより安全に遂行できるように、これからも様々な研究が行われていくでしょう。
有人の月面探査、火星探査なんて夢がふくらみますね
安全に実現させるためにも、やはり研究が必要なんだよね
以上のような理由から、月の裏側に着陸することは、科学的な観測や研究、そして人類の宇宙探査の進展にとって、大きな意味を持っています。
まとめ
月の裏側の月面着陸は、2019年1月に中国が打ち上げた「嫦娥(じょうが)4号」が成功しました。
月の裏側に着陸し、詳細な探査を行うことで、月と地球の歴史や、月の内部構造について新たな知見が得られる可能性があります。
月の裏は低周波帯の電波観測に理想的な環境なので、地球では行えない方法で宇宙現象の研究が可能になります。
また今後の有人ミッションに重要な、氷の体積、生物の生育実験、月面の放射線環境について確認することができます。
月の裏側を探求することで、様々な可能性が広がりますね。
今後も宇宙開発事業は目が離せなくなりそうです。